マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

タンザニアの夜

Tanzanite
Locality: Tanzania
Size:0.9ct/7mm
Nikon D90 / bellows / Tominon 35mm F4.5


タンザニアの石。というよりはタンザニアの夜という言葉がじつにしっくりくる。
日本人が大好きな紫色の透明石の中では、タンザニアに勝るものはそうないだろう。
もともと宝石質の紫色の石が少ないということもあるけれど、
色の深さと煌めきはアメジストのそれを凌駕する。


タンザニアの夜はこんな色なんだろうなあ。とかロマンチックなことも考えるけれども、
タンザナイトの採掘は命がけなのだという。
タンザニアといえばマサイ族が有名だけれども、何万人という部族の人間が採掘にかかわっている。
その鉱山は人がひとり通れる縦穴に入り、横ばいで暗闇を掘り続けていく…
みたいな状況がこの現代でも行われている。
当然のように事故は日常茶飯事。
大雨ひとつで大事故につながる危険な仕事だ。


さくらももこの宝石エッセイ。『ももこの宝石箱』でも書いていた。
宝石屋で手にしたタンザナイトの原石は、
取ったところで坑道が崩落して数人の部族の人間が命を失ったのだ…と。
こんな逸話を聞かされてドン引きしている話があった。
人間の美にかける情熱とお金にかける情熱。
石というものはそんなものから逃げられないのだろう。


かといって採掘をやめさせるのがいいのだろうか?
そんな単純な話ではないのは確かだ。
農場で過酷な労働を強いられていた少女が、国の手入れで強制労働からは解放されたが、
今度は仕事がなくなってしまい売春婦として街角に立つ。
みたいなことが起こってしまうだろう。
おそろしく根が深すぎてどうしたらいいかわからない。


わたしは、基本的に享楽的な石マニアだ。
売られているものであれば適正な価格で買い求め、それを眺めてハアハアする変態だ。
そこに思想的なものはまったくないといっていい。


けれどもたまに。こうしたことを考えて神妙な気分になる。
タンザナイトに限ったことではないのだろうけれども、
この石はひときわ神妙にさせてくれる石だ。


もし、石にパワーがあるのならば叶えておくれ。
こんなキレイな石を掘り出してくれる人々の幸せを。




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