マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

いまさらのズームマイクロニッコールレビュー

Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


ズームマイクロニッコール
「Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D」は、
1997年9月(10月?)から2005年の期間に販売された。
まだデジタルカメラが一般的ではなく、
ニコンF5が1996年10月に発売されたばかり。
フィルムカメラの絶頂期に発売されたこのレンズは、
「世界初 ズームできるAFマイクロレンズ」として華々しくデビューする。
そして、2005年に多くのマクロレンズファンから惜しまれつつディスコンとなった。
ニコンフィルムカメラのフラッグシップF6が発売したのが2004年10月。
デジタルカメラD1は1999年9月発売。
まさしくニコンフィルムカメラの最後期とデジタル黎明期をともに過ごしたレンズといえる。


このレンズはいまだマクロレンズマニアにとって重要な位置付けを保っている。
最大撮影倍率はワイド側で1/3.2倍。テレ側1/1.32倍。
等倍マクロではなく、ほとんどハーフマクロといっていい。
だが、ズーム全域で37cmまで寄れて、
ズーミングによってピントがズレない
そして露出倍数がかからない
今だに、どんなマジックを使ったらそんなレンズができるのか?
と思わせる特徴を持つ。
マクロを使っているものであれば、このふたつがどれだけ有難いかはよくわかる。


じつのところ「ズームしてもピントが変わらない」
というのは、コンティニュアスAFが進んだ今のカメラではあまり効果はないかもしれない。
真に実力を発揮するのは三脚を据えてマニュアルで撮るときだ。
テレ側で厳密にピントを決めておき、ズームで構図を決める。
通常の単焦点やズームレンズであれば、構図が変わるたびに三脚を動かさなくてはならない。
それがズームで行うことができるのだからやりやすい。


露出倍数がかからないのも地味にうれしい。
デジタルカメラの場合は何枚か撮ってみて、
液晶で確認すれば適正露出を実際に決めることができる。
が、フィルム時代のマクロ者たちは「この露出倍数がかからない」
ことがどれだけ助かったことか…
デジタルの今でもこの機能は嬉しい。
マニュアルで撮るさい、大きな露出変動がなく確認もスムーズだ。
リニューアルされた場合はぜひズームのF値変動がなくなれば完璧だろう。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


開放F値も暗いので動体を撮るには不向きであるのは言うまでもなく。
わたしは猫撮りに使うけれども、F値の暗さには苦労させられる。
望遠域ではブレやすいのでシャッタースピードは1/200秒以上にする必要がある。
このレンズは使うと便利なのだけれども、
同じ焦点域のDレンズ、70-200mmF2.8レンズのほうが売れたという。
値段もズームマイクロのほうが高く、不遇のレンズであった。


今のレンズにはフルタイムマニュアル操作ができるAF-Sがある。
が、このレンズにはAF=MFの切り替えリングがある。
猫を追うときには若干やきもきするけれど、
物撮りであれば問題にはならない。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


フードはHB-14が付属でついている。
バヨネットではあるがかっちりはまらない。
ここはWEBに出回る他のレビューでもあるように、頼りない。
なのでねじ込みフードHN-23を先につけてダブルフードにしている。
というのも、マクロ域にするとレンズの先端がフードからつきだしてしまい、
HB-14はフードの意味を成さなくなる。
HN-23はフィルターねじ込みなのでズームに合わせて動いてくれる。
Ai 80-200mmF4S ZoomやAF 85mm F1.8用のフードなのだけれども、
一切ケラレもなく、普段はHB-14の内側に隠れて目立たない。
フードもディスコンであるから、流通在庫があるうちに手に入れたい。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


三脚座は小さな取り外しできないタイプのものがついている。
猫を追うときにはジャマなのだけれども、
ブツ撮りのときなどはこの三脚座が使いやすい。
光軸を変えずに縦横撮影に対応できるからだ。
いつもはクイックシューのベースプレートをつけっぱなしにしている。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


コーティングはナノクリスタルコート以前のスーパーインテグレーテッドコートだ。
今のレンズにも使われているマルチコートで、
ブツ撮り猫撮りともに不便を感じたことはない。
機能は関係ないけれど、わたしはこのグリーンのコート色が大好きで、
ときおり光にかざしてうっとり見ている。
コートの色について言及するようになり、
わたしも遠くまで来てしまったものだと苦笑することしきり。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


わたしは二年くらい、このレンズの美品を求めていたのだけれども、
ようやく箱付き新品同様の品を手に入れることができた。
結局はボロボロになるまで使い倒すものではあるが、
なるべく長く使いたいので新品同様が欲しかった。
マルチコートの紫外線吸収フィルターL37Cもついてきて、
シリアルナンバーも最終期のものであった。
良縁に恵まれ嬉しい限り。


Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D


おおよそひと月。ZMNをD600につけっぱなしで撮りまくった。
正直、使ってすぐは重いし暗いし写りもそんなパッとしないと感じた。
が、しばらくして気がつく。
・このスペックで1000gは重くない。慣れればこれくらい重くないとブレる。
・暗いが接写領域で露出倍数がかからないのでSSが以外と早くできる。
・写りがパッとしない写真を拡大するとブレが原因だった。
 テレ側ではブレに注意すればシャッキリ写る。


さすがはマイクロニッコールの写りであった。
わたしの拙い作例は左の【D600/Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D】
タグから見てやって下さい。


このレンズが現役だったころは、インナーフォーカスで焦点距離が変化し、
マクロ領域テレ端の180mmでも実際には150mmくらいであるということが話題になった。
が、ズームマイクロに限らずメーカーに限らず、
インナーフォーカスである以上、この問題は現在まで解決されていない。
今も現役の200mmのマイクロニッコールもまた、
マクロ領域の焦点距離は170mm程度だといわれている。


全群繰り出しの古いタイプのマクロレンズであれば焦点距離は変わらない。
ここが気になる人はZMNに限らず、すべてのIFレンズについて注意が必要。
最も、今のレンズではIFではないもののほうが珍しいのだけれども…


じつはZMNがリニューアルされればそれを狙っていたのですが、
ちょっと前にF4通しの70-200mm新VRがニコンから発表されまして。
ZMNは売れていないという当時の話もあり、
同じ焦点域であるZMNがリニューアルされるのは当分先だな。
と、出物に飛びついた次第で。
これで一年以内に新型ズームマイクロが出たらそっとしておいてくださいね…



[おまけ]
レンズの箱の隙間にフィルターの箱がきっちりハマってうれしい
Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-F5.6D




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