マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。被写体は鉱物標本/ルース。猫も撮ります。マクロレンズとヘンなレンズが多いです

ウルトラマイクロニッコール

Ultra-Micro-Nikkor 28mm F1.8 M=1/10e

マクロ者にとっての仏像。
高倍率マクロ者にとっての仏舎利。
見かけたら敬意を感じずに入られない一本といったら、
わたしはウルトラマイクロニッコールを挙げる。

赤本導師のサイト『RED BOOK NIKKOR』見てからというもの、
いつかはこのレンズを一本でもいいから手元に置きたい。
そう信心を募らせていたレンズが自宅の防湿庫にあるという至福。

Ultra-Micro-Nikkor 28mm F1.8 M=1/10e

ウルトラマイクロニッコールの中では手に入れやすい一本ではあるが、
わたしが知る限り、状態のいいものは国内では年に1〜2本出るか出ないかという感じだ。

ウルトラマイクロニッコール(以下UMNと略す)は主に以下の目的に使用された。

(1)フォトマスクの作成
(2)光学測定器、検査機などの複雑・微小な図形を持つガラス製標本の制作
(3)超マイクロブックの作成

いずれも極超解像度の必要とする対象で、
UMNの生みの親、小穴純教授は UMN 29.5mm F1.2 を使い、
12.6mm×13.2mmという切手サイズに『チャタレイ夫人の恋人』英文全330ページを印刷し、
その超マイクロブックをさらにもとのサイズに復元する。
という離れ業をやってのけた。


Ultra-Micro-Nikkor 28mm F1.8 M=1/10e


それほどの解像力を持つレンズ。
ではあるのだけれども、これは単線用。
水銀ランプから出てくる単一波長の光のみを使用することが前提となっている。
この写真のレンズはe線専用だけれども、
超高圧水銀ランプを光源とするg線、h線専用のUMNも存在する。
e線はグリーンがかった光なので、それのインスパイアなのか、
シリアルはグリーンのエナメルが流し込まれている芸の細やかさ。
このグリーンシリアルは後期に作られたUMN28/1.8の特権だ。

しかしなぜ単色光であるのか?
それは色収差の補正がしやすいからだ。
UMNはすべての光を補正することを捨て去ることで産まれ、
薄く研ぎ澄まされた刃のようなレンズとなった。

かといって一般撮影に使えないのか?
これがそんなことはない。
下記の写真はハロゲン照明下、UMN28/1.8で撮ったものだけれども、
この撮影領域において現代のマクロレンズを軽く凌駕する。
高倍率マクロ者の定番。諭吉ベンチマークで、
ホログラフ箔のモザイクがしっかり分離して撮影できる。
うまい人が撮ればもっとよい結果となるだろう。

一度はe線で撮ってみたい気もするけれども、
現役を離れ一般家庭で余生を過ごしているUMNも、
仕事を忘れて趣味の光で撮影のほうが気楽なのかもしれない。

¥10,000 YUKICHI benchmark

最近のテレビでは「日本のすごいところ」を紹介するのがブームだという。
半世紀近く前の光学技術がどれだけすごかったか。
ぜひ紹介していただきたいもので。

何でもかんでもすごいすごいと騒ぐのはどうかと思うけれども、
少なくとも自国の文化に誇りを持つことは悪くない。
偉業に対して、わたしも真摯に頭を垂れつつ
高倍率のマクロを嗜んでまいりたいと思います。

Ultra-Micro-Nikkor 28mm F1.8 M=1/10e





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[↑マクロレンズって本当にいいものですねえ…]