数年前、何かどこかのWEB記事で読んでから、このカラフルなコーンを手にしたくなった。
理由はキレイだったからというのに尽きる。
このコーンから連想されるのは宝石という言葉以外にあるまい。
知ったときにはもう時期ではなく、生のコーンは手にはいらなかったので、
これを作っている農家に予約していたところ、忘れた頃にやってきた。
しかし皮を剥いてみると思いの外、パステルカラー。
これはこれでキレイだからいのだけれども、
WEBで見たときはもっとツヤツヤでテカテカだった。
トウモロコシと一緒に送られてきた注意書きを見ると、
茹でるといっそう発色が良くなるとのこと。
雪平に塩をひとつまみ入れて、茹でてみることにした。
確かに茹でたほうがキレイだった。
まさしく宝石。石、いうよりは同じ有機物である真珠のような、
絹のような光沢感があり、なかなか見ごたえがある。
もう少し皮のまま常温で二~三日保存しておくと、
もっと色が濃く出るかもしれないが、待ちきれなかった。
どのみち十本ほど買ってみたので、一本はお試しということで。
ばきっと半分に割ってみる。
断面はそれほどキレイではない。
これは頭の部分にもっとも色素が濃く出ているようだ。
何本かは茹でずに乾燥させて、そのままオーナメントにしようと思っている。
飾りであれば、断面は見せないほうがいいだろう。
それにしても茹でるとメタリックですらある。
茹でたてをこのまま何かに封じられたら一番いいのだけれども。
せっかくなので、粒を取り出してピン撮影もしてみよう。
おや、存外粒の状態でも賑やかだ。
とくにグラデーションがあるものが楽しい。
ただこれはまだ未熟で、熟れると粒ごとにカラーが明確になるのではなかろうか。
コーンでこれほど楽しめるのは嬉しい限りだ。
ただし、味はよくない。
はっきりいって美味しくない。
グラスジェムコーンはスイートコーン種ではなく、デントコーン種。
通常は食用されず、家畜飼料などに使われる種だ。
食べても毒はないのだけれども、粉っぽく糊のような味で、皮が厚く舌に障る。
ポップコーンには適するということだけれども、茹でてしまってはそれも無理だ。
であれば、軽くバター醤油味で攻めてみよう。
…炒めると皮がますます硬くなり、もはや食べ物とは思えない。
バター醤油はレンガでも美味しく食べられる調理法だと思っていたが、
このトウモロコシにはまったく歯が立たなかった。
今後は観賞用としてのみ使おう。