マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。被写体は鉱物標本/ルース。猫も撮ります。マクロレンズとヘンなレンズが多いです

ニコンの金属観察用有限補正対物レンズ『M Plan』シリーズ

わたしみたいな「石の表面を観察&撮影したい」者にとって、対物レンズはルーペよりも観察しやすく肉眼を越えた高倍率の世界を覗き込みやすい。撮影においては通常のマクロレンズよりも高倍率での撮影に適しているという意味で、避けて通りにくいジャンル。

あえて「避けて通れない」といわず、「避けて通りにくい」と表現するあたりで察していただきたいところなのだけれども、なければないで高倍率の撮影観察などしなくて問題ありません。
この分野は石好きとしては大いなる助走みたいなもので、そこにつぎ込む手間と予算をハイクオリティーの石につぎ込んだほうがいい方もいます。顕微鏡沼は研究職でもなければ、なかなか手を出しづらく。かつ沼深いジャンルなので、立ち入るときはどこまで立ち入るかを決めておいたほうがいいと思います。

わたしが顕微鏡沼に対してここまでというラインを引いたのは「本体はオプチフォトだけで完結させること」でした。

さあもうここでわからない。
まず『オプチフォト』というのが何なのか。顕微鏡本体であることはわかると思いますが、ざっくりと説明していきます。

オプチフォトは1978年にニコンが発売した有限補正光学系システム顕微鏡で、1990年代まで研究所や教育機関で広く使われたベストセラー顕微鏡です。その後、無限補正光学系CFIシステムを採用して、今も現役のシリーズである顕微鏡『エクリプス』が置き換わっていきます。

専門的な言葉はひとまず置いておくとして、つまりオプチフォトは高度成長期からバブル終焉までの日本で活躍していた顕微鏡。エクリプスが出たとはいえ、今でも現役で使われていることがある高性能な顕微鏡です。

そのおかげで中古市場が潤沢で、さまざまな本体やパーツやレンズがアマチュアのわたしの手にも入りやすくなっている点を注目しました。

先に『システム顕微鏡』という単語が出てきましたが、これがオプチフォトのいいところ。パーツさえ揃えればこの顕微鏡ひとつで生物顕微鏡や金属顕微鏡にすることもでき、通常の透過照明だけではなく同軸落射照明や偏光させての各種観察撮影ができる優れものです。

顕微鏡はざっくり大きく分けてふたつの種類があります。『生物顕微鏡』と『金属顕微鏡』です。それぞれ生物を観察するか金属表面を観察するかの違いがあります。義務教育で習うときに使ったものは生物の細胞を切片にして、スライドガラスとカバーグラスではさんで観察する『生物顕微鏡』だと思います。試料に強い光を当てて、透過させて細胞などを観察したことがあるのではないでしょうか。

そして切片ではない石の観察用に使うものが『金属顕微鏡』です。生物顕微鏡とは違い、試料そのものをステージに乗せて、観察部分に光を当ててそれを観察します。

話が長くなりましたが、これでようやく今回ご紹介するレンズのことに入ることができます。なぜなら生物顕微鏡のレンズは「カバーグラス」があることが前提の条件で、光学系を設定しています。カバーグラスがかかっていないと、レンズ本来の実力が出せないのです。といってもわずかな違いですが、高倍率の観察や撮影においてはそのわずかな差が、如実に現れる世界で。

石そのものを観察するためには『金属顕微鏡』専用の対物レンズが必要となります。通常、レンズに『M』の記載があればそれはMetalの頭文字のMのことで、カバーグラス補正のない、金属観察用の対物レンズです。

Nikon objective lens

Nikon objective lens

Nikon objective lens 「M Plan」series

 

 

ニコンの古い世代の金属顕微鏡用の対物レンズ『M Plan』シリーズです。
1倍から100倍までの対物レンズですが、x1だけ妙にでっかいのはのちのち説明するので気にしないでください。

ここまでものすごくざっくりした説明なので、詳しい方や研究職の方から叱られそうなほど乱暴な説明です。わたしが想定しているのは「雑でもいいからこれが知りたい!!」と思っていた自分がもとになっています。当時の自分だったらこれが知りたかった、ということをまず書いたのでご容赦ください…

M Planはx1を覗いてRMSマウントなので、これをなんとかしてお持ちのレンズ交換式カメラのマウントに変換できれば、あとはベローズがあれば撮影に使えるところもいいところです。
有限補正系の対物レンズは、カメラと接続して鏡筒長と呼ばれるそのレンズ固有の素子からレンズマウントまでの長さを確保できれば、ひとまず写るのが頼もしい。写真のM Planレンズは鏡筒長210mmなのですが、多少狂っても写らないということはないのでご安心を。

ところが無限補正になるとレンズ単体では写りません。結像レンズ(ドローレンズ、チューブレンズとも呼ばれる)が対物レンズと素子の間にないと、像を結んでくれない。専用の顕微鏡があればいいんですが、ベローズで使おうとするとこれがかなり面倒です。
そういった面からも有限補正のM Planは使いやすい。

気をつけなくてはいけないのはイメージサークルで、上記レンズだとx2.5とx1はフルフレームの撮像素子をカバーできずにケラレます。x1だと完全にトンネル状態に写ります。
ペンタックスQのような小さい撮像素子であれば問題ないんですが、x2.5はAPS-Cでなんとか。x1だとAPS-Cでもアウト。ニコン1のインチセンサーならあるいは…という具合です。だいたい直径20mmくらいのイメージサークルなので13.2×8.8mmの1インチセンサーならたぶん…
一般的に顕微鏡は小さなものを大きく観察するためのものなので、x10の倍率が基準で、それ以下の低倍率はあまり一般的ではなく、球数が少なく入手もやや困難です。観察であるならともかく、撮影のためであれば無理せずにマクロレンズを使ったほうがいいかもしれません。

なお、M Plan x1の使い方は通常のRMSマウント/レボルバーではマウントできません。下が通常の対物レンズの装着状態ですが、x1だけは装着方法が違います。

Nikon objective lens


なんだこりゃ。

Nikon objective lens

レボルバーを外してアリミゾまたはダブテイルというマウントに滑り込ませ、ネジを締めて固定して一本だけで使います。1倍とか、よほど特殊な用途で使われたのではないかと思います。

なお、ベローズなどで使う場合はアリミゾマウントを外すことができ、中からはネジマウントが現れてきたりします。

Nikon objective lens

しかしもM31mmというあまり見ないマウント…
わたしはたまたま合う変換を持っていましたが、フルフレームだとケラレるので、そこまでして使うことはない、趣味性の高いレンズになってしまいました。

Nikon objective lens

門外漢にとって、本格的な顕微鏡はハードルが高いと思います。それでも、今は日本がイケてる時代にがんばっていた顕微鏡がアマチュアでも手に入るお値段で入手できるし、WEBを探せば情報もそれなりに出回っています。
わたしはSNSで知り合ったマニアの皆様から薫陶を受け、ようやくなんとか使えるという具合です。趣味のひとつとして、顕微鏡観察と撮影はなかなかしぶいのではないでしょうか。

というわけで、わたしのような光学/石好きがまず手に入れるべきはルーペ。その次に実体顕微鏡。そして金属顕微鏡です。おすすめはニコンの『OPTIPHOT』。あるいはオリンパスの『BH-2』あたりでしょう。いずれも互換性があるところが多く、中古の玉数が多いので手に入れやすくユーザーも多いからです。

身近に石好きかつ顕微鏡持ちが増えると、わたしも相談しやすくなるのでぜひみんなで顕微鏡沼においでよ!!

 

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[↑今気づいたけどx40の写真が間違えてLWDのやつだった]

顕微鏡で見る  ミクロの世界: 仕組み・使い方・撮影テクニックがわかる

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