マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

石好きによるルーペ紹介③『Nikon 宝石鑑定用ルーペ 10x』

Nikon Precision Loupe 10x

ひとくちに石好きといってもいろいろ派閥があり、繊細な鉱物標本が好きだったり化石が好きだったり、宝飾品に使われる前の裸石。いわゆるルースが好きだったりする。

当然それに合わせたルーペが必要で、先に紹介したベロモや池田レンズなどは広い視野と使い勝手のよさで自家採集派フィールドワーカーたちや、広い視野が必要な鉱物標本観察の派閥に人気だ。

Nikon Precision Loupe 10x

このニコンのルーペはいずれにもあまり使われない。これを愛用するのはもっぱら裸石を集める者や、宝飾品の細部に熱視線を注ぐ人々が多い。その訳は使っていくうちにつまびらかになるけれども、ぜひわたしに語らせてほしい。

ニコンのこのルーペはレンズ径が13mmとやや小さい。大きいほうが視野は広いが、裸石派は対象物のどこを見ればいいかわかっている。(石によっては使えないが)ツイザーと呼ばれる宝石をつまむ用具を左手に。右手にこのルーペを持つ。ルーペは目の近くに置き、顔ごと観察対象に近づく。最高の解像度を得られるおいしい倍率が変わってしまうため、ルーペを前後して見てはならない。観察物ではなくルーペと顔を近づけてピントを合わせる。これが観察の基本だ。

spinel

標本は全体を眺める必要があるが、ルースは「ここ!!」という観察ポイントがだいたい決まっている。レンズは大きくとも小さくともいけない。大きければ大きいほど迷光が入り込む。おおよそ10mmまでの宝石であれば、このレンズサイズが最適。かつて耳鼻科医は中央に穴の空いた皿のような反射鏡を使い、小さな穴か患部を覗き見た。視野を狭めたほうがよりシャープに見えるからだ。ルーペにも同じことがいえる。

Nikon Precision Loupe 10x

さらにニコンのこのルーペは筐体が樹脂製。何かの間違いがあってはならない宝飾の扱いでは、金属製筐体の扱いはやや怖い。この軽くて小さな。それでいて収納時の密閉性は随一のニコンルーペは、まさに正しく宝飾用ルーペの決定版といっていい。

解像度についてだけれども、ここまで言及しなかったのは他に劣るからではない。むしろ条件によってはベロモに勝る。なぜか平面を見るとパッとしないのだけれども、エッジの鋭い宝石をつまんで観察するとき。あるいは万年筆のニブを調べるとき。このルーペは最高の性能を発揮する。これは文学的表現ではなく、わたしの主観においてまったくの事実だ。

あえて解像「感」という曖昧な表現を使っているが、公式サイトによると「63本/mm以上の優れた解像力」とある。これは1mmの間に63本の線を引いてもそれを確認することができる性能だ、ということだ。正しく使えば、あらゆる10倍精密ルーペに勝る。

ついでといっては何なのだけれども、ストラップホールの仕事がにくい。ここまで樹脂ボディに徹しているが、この穴の内側だけは金属製な点だ。内径は4mm。これだけあれば銀のチェーンに通して、ペンダントの代わりにもできる。本体は樹脂製で肌に触れてもやさしい。さらに薄型軽量。ここまでしっかりと使う人を選び、考え抜かれているルーペはこのニコンをおいて他にない。

宝飾、裸石を観察したいならこれはひとつ持っておくべきピースのひとつと断言できる。お値段も性能を考えれば破格だ。レンズには性格な色を測るために、もちろんあえてのノンコート。蛇足ながら、特殊需要のためにごくごく少数マルチコートのルーペもある。とのことだが、これはまったく流通していないので、よほどのマニアでなければ目にすることもなく…

Nikon Precision Loupe 10x

【まとめ】
Nikon 宝飾用ルーペ 10x

レンズ径=13mm(公式)
重量=15g(公式)
全長=42mm(繰り出し前/公式)
厚み=16mm(公式)
レンズ構成=トリプレット

・観察しやすさ=90点
・解像感=97点
・扱いやすさ=91点
・耐久性=95点
・コストパフォーマンス=90点
・総合点:92.6点

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[ニコンのルーペは尖ってキラキラしているものを見ると凄い]

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