わたしはもともと文字書きで、むしろ写真は嫌いな立場だった。
ある日、10年以上も書きためた文章の容量が写真一枚にも満たない。
そう知ってからというもの、なんだかよくわからない逆恨みを抱いていた。
高校時代は写真部的な部活に属していたにもかかわらずだ。
ある日、仕事で撮影をすることがあり、誰もやりたがらなかったので、
わたしが備品のコンデジを借りて撮影を一部担当することになった。
コンデジは今はなきコニカのもので、とくに何の感慨もなく使っていた。
が、レスポンスは悪いしバッテリーは一時間もすると切れる。
こりゃ使えないと思い、仕方なく自費でコンデジを買ってやろうという気になった。
というのも、当時すでにメイン趣味のひとつであった宝石や鉱物の記録撮影に使いたかったのだ。
そのコニカのコンデジは接写性能が弱く、30cmも寄れなかったのだ。
写真を撮っていてブログもやっているような友人がふたりいた。
ふたりとも口を揃えて「接写だったらリコーがいいよ!!」
というので、WEBの評判も吟味のうえアキヨドでR10をゲット。
思えばこれが沼の第一歩であった…
マクロが楽しくて毎日ルースをとっていくうちに、
1cmくらいのものはまだいいのだけれども、
ゴマ粒みたいなルースを写すにはトリミングをしなくてはいけない。
トリミングをすると解像度がガタガタになる。
畢竟。次のステップとしてデジタル一眼のD60とマクロレンズに移動するのだが、
それはまた別のお話… いずれ語るときも来るだろう。
今でもたまに使うけれどもいいカメラだった。
わたしが求める接写性能に応えてくれ、
取り回しもよくデザインも好みだった。
今から四年前のカメラなので高感度性能はたいしたことはないけれど、
ISO400くらいまでならわりと気にならない。
バッテリーの持ちも必要十分。
素子にゴミが入りやすい個体だったのか、
はたまたそういう機種だったのかはわからない。
が、わたしは二度ほど画面にでっかいゴミが入ったため、
RICOHのサポセンに出向いて素子ゴミの除去をお願いした。
コンデジがみんなそうなのかわからないけれど、
レンズアライメントと撮像素子ごとの交換であった。
保証書で無料でのことだったのでとくに気にはしていない。
その後、車のドアにはさんで大破したこともあった。
そのときすでに保証は切れていたので1万と3000円くらいで有償修理。
CX2が出ていたのだけれども、愛着が湧いていたので買い換える気になれなくて。
今思うに直しておいてよかった。
液晶は治ったが今でも背面の左がわ。フレームに歪みが残る。
それだけではなく、背面のレバーボタンもなくなってしまうし、
グリップラバーも使い込んで擦り切れてピカピカになっているところがある。
小キズは数限りない。なんとも思い出深い機体となった。
上はR10で撮ったサファイアだ。
被写界深度深いコンデジでの写真はパッと見、
デジタル一眼とマクロレンズで撮ったものよりキレイかもしれない。
もちろん拡大して見ると粒子が荒くザラザラだ。
だが、うまい具合にルースのアラが隠されていて、
透明感のある様子が撮れているので気に入った一枚だった。
デジタルカメラは数年で型落ちして、あとは誰も見向きもされない家電となる。
そういうものだから仕方がない。
コンパクトカメラだって昔からそういう扱いをされているのだから。
しかしデジタルの手軽さはフィルムのそれを超える。
たまに使うことが許されるくらいの気軽さだ。
欲張らなければそこそこの写真が撮れる。
それはきっとかつて馴染んだ機体だからこそ撮れるもので、
気軽で手軽だからこそ撮れるものだろうと思う。
わたしを深い深い鏡玉の沼にいざなったカメラだ。
そうそう現役引退できるなどと思わないよう、
定期的な実写が必要だ。
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[↑いやでも新しいコンデシ買ったら使わなくな(以下検閲削除)]
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