マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

謎多きマイクロ/複写用/製版用フジノン

1950年代前半から1970年代中程にかけて
生み出された三種の産業用フジノンがある。

・APO FUJINON
・FUJINON SUPER MICRO
・FUJINON-XEROX

これらはマイクロフィルム用。製版用に作られたレンズで、
当時のカタログの隅に名前が見受けられるくらいの、
なんともマイナーな産業用レンズだった。

その設計思想はマクロのものであろうと思い、ずっと探してきた。
ここ最近、にわかにフジノン・スーパーマイクロが市場に出てきたため、
わたしも知る限りをここに残しておきたいと思った次第で。


遡れる限り、フジノン・スーパーマイクロF1.5/13mmの製造は
まだ富士写真光機が自社で光学ガラスを製造していた時期のもので、
1953年にその名前が見られる。
フジノン・スーパーマイクロは1970年まで製造されていたようで、
わたしがカタログで確認できた中では、
F1.5/6.5mmがもっとも新しいスーパーマイクロだ。
下画像の『FUJINON SUPER MICRO 1:1.4/26』は、
いつの時代に作られたものかすら判然としない。

社史『富士フイルム50年のあゆみ』には、
1951年10月に国産初となるマイクロ写真専用フィルム『ミニコピーフィルム』を発売したとあり、
これに類するレンズを生み出されていたとしてもおかしくはない。
しかし、社史にその名は残されていない。
FUJINON SUPER MICRO 1:1.4/26





フジノンゼロックスも歴史は古く、1953年〜にはF3.8/35mmからF5.6/346mmまで
30種のレンズがあったとされている。
下記レンズはF4.5/240mmのFUJINON-XEROXだけれども、
これの詳しいデーターはまったく知られていない。
名前からするにゼロックス。複写用なのだろうけども、
当時のカタログには「マイクロ/製版用」と表記されている。

写真のレンズは無骨なバレルレンズで、前後ともねじスレッドが存在しない。
どのように使われたかすら、今では伝えられていない。
FUJINON-XEROX 1:4.5/240




アポ・フジノンはもっとも謎なレンズだ。
フジノンのアポレンズといえば大判用のFUJINON・Aが有名だが、
わたしの知る限り、このアポ・フジノンはカタログのほんの一行にしか記述がなく、
しかもその詳細は「お問い合わせください」だ。
もちろん富士フィルムの子会社であった富士写真光機はすでに存在せず、
幾度かの改名を経て会社は存在しているものの、少なくとも一般に詳細は伝わっていない。

下の写真はAPO FUJINON 1:9 f=45cmというレンズで、
この三種の中では唯一絞りがある。
おそらくはニコンの『APO-NIIKKOR』と同じく、
製版用途だったと推察する。
しかし、レンズ現存数も少なく調べようもない。
APO FUJINON 1:9 f=45cm


断っておくけれども、ここではその性能について言及しない。
いずれひっそり作例を出すこともあるかもしれないけれども、
この古いレンズにそれを語るのは野暮に思える。
かつての日本の産業遺産として、わたしは知ることと
持てるレンズの画像を示すに留めておきたい。

といってもフジノン・ゼロックスにはねじスレッドがなく、
アポ・フジノンも巨大なためマウントが億劫で実写を試していない。
スーパーマイクロは26mmがライカLマウント。
6mmと13mmがCマウントとマウントしやすいので使い勝手がいい。

いつの日か、フジノンがこれらのレンズの情報を明らかにしてくれますよう…






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[↑スーパーマイクロはシリアル1番なんだぜ! イエーイ!!]


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