このカメラが出たのは今から六年前。
APS-Cの撮像センサーと、フルサイズで35mm相当になる23mm f=2の単焦点レンズを備えた高級コンパクトデジタルカメラとして、
その性能もさることながらクラシカルで品のある趣が話題となった。
わたしの記憶だと最安の実売価格は11万ちょい。
まだ、マクロ機材も揃いきっていなかった頃で、余計な出費をすることはできない。
それを抜きにしてもX100は完全なる趣味の、贅沢品であった。
ほしいなあ、とは思いつつもわたしが持つことはないだろうと思っていた。
ところが縁があって、数回使っただけのX100が格安でやってきた。
もうすぐ四代目となるX100Fが発売となるウワサが出ていたので、そのおかげか。
6年前、ヨドバシのデモ機で使って感動したハイブリッドビューファインダー。
今覗いてみてもすばらしい。光学ガラスのファインダーは肉眼で見るよりもクリアで、
どこまでが電子ビューファインダーかがわからない浮かび上がった文字が、
外観のクラシカルさに反して未来を予感させた。
EVF(電子ビューファィンダー)をハーフミラーで反射させ、
OVF(光学ビューファインダー)の視界にF値や撮影範囲を表示する。
これがハイブリッドビューファインダーというものだ。
いわゆるレンジファィンダーとは違うが、この形である必然性が実用美を感じさせる。
誇らしげな『MADE IN JAPAN』と『FUJINON LENS SYSTEM』の刻印(メイドインジャパンは印刷だが)。
説明の必要がないほど雄々しいダイヤル。
ケーブルレリーズが使えるねじ込みがあるシャッターボタン。
なんて趣味的なんだろう。
しかし一時間もいじくりまわしていると使いこなせる。説明書など読んでいない。
すぐにお散歩カメラと手軽な撮影。旅行のカメラとして、わたしのカバンに入り込むことになった。
APS-Cで1230万画素。十分十二分。
ISO感度上限を思い切って6400まで上げて、Aモード撮影。
普段はRAWで撮っているのだれけれども、ここはフィルムメーカー『FUJI FILM』を信じて各種フィルムモードのJPGで撮る。
『アスティア』『プロビア』『ベルビア』リバーサルフィルムの名前がうれしい。
ホワイトバランスは太陽光。あるいはおまかせでオートだ。
以下、ふらふらと撮影して回ったスナップを貼り付ける。
撮影データはまあいいじゃないか。気軽に撮ったものだし、気軽に見てほしい。