AUのボルダーオパールについて三連続のブログとなりました。
未読の方はまずこちらをご覧いただければこれ幸い。
今回はエンハンスメント(処理)されたボルダーオパールについて。
Australia
FoV=13mm
D610/bellows/Macro-NIKKOR 65mm 1:4.5
こちらのややいびつなスクエアのボルダーオパール。
マルチカラーの遊色が亀裂にそって見え、母岩は黒褐色。けれども左端の欠けたところはクリーム色の砂岩が見える。
これはオーストラリアで取れたクリーム色の、砂状でもろいオパールを処理したもの。購入した方は30年ほど前に入荷したもので今ではあまり見られないタイプなのだという。
この手の母岩がもろくて色のパッとしないオパールを黒くして、遊色を映えさせる方法はローマ時代から知られている。大昔は糖で煮染め、母岩にしっかり染みたところで酸で焼く。糖が焦げていい具合に焼けたらできあがり、という寸法だ。
Australia
D610/OPTIPHOT/NIKON Plan APO 5
FoV=4mm
この処理を見分けるには、慣れれば目視でもイケるのだけれども、欠けたところがあるとわかりやすい。糖が染みるのはごくごく浅いところであるし、あまり酸で焼きすぎてもオパールによくない。ゆえにこうして中央部はもとの母岩の色を残している。
今でもごくわずかに行われている処理ではあるけれど、オーストラリアンボルダーオパールの色とは具合が違うので、あまり行われていない感じがある。本来であれば母岩は鉄の酸化鉱物であるリモナイトなどの鉄鉱石を含んだ砂岩由来の茶色みがある。しかし糖で焼くと黒味が強くなってしまうので見分けがつきやすい。
Australia
D610/OPTIPHOT/NIKON M Plan 20
FoV=2mm
上の写真は焼いたボルダーオパールを画面幅2mmまで拡大して写したもの。
よく見るとオパールと母岩の隙間が黒くなっている。糖を染み込ませるため、どうしてもここが黒くなりがちなのだ。けれども、この黒いところがかえってオパールの存在を強調させる。
宝石のエンハンスメントは必ずしもいけないことではない。それは石の美しさを際だたせるために考えられた、人間の努力の跡だからだ。こうした知識を得た上で眺める処理石は、それはそれで趣があるし観察のしがいがある。
逆にこういう石はわかった上で買いたい。マニア的にはおいしい一品だからだ。ぜひ、処理石であることを明らかにして売っていただきたい。できれば使用前使用後の観察もしたいので、処理前の石もいっしょだとなおよし。
語る内容は多ければ多いほどいいのがマニアなのだから。
[↑マニアめんどくさいネー!!]