フジノンMというレンズがある。
これはずいぶん古くからある産業用レンズのようで、さまざまな焦点距離とF値。マウントがこの世の中に存在している。
富士フイルムの社史を紐解いてもその記述はなく、それが使われていたという資料すらWEBですら見たことがない。
あるのはただ現物のみというオーパーツのようなレンズだ。
それでもいくつか集めていくうちに、フジノンMというのが「フジノンのマイクロレンズ」という意味合いで使われていたのではないかと推察できるようになった。
わたしの根拠としては「おそらく純正のレンズキャップに『FUJINON-MICRO』のロゴがあった」「当時使われていたケースに個人で『マイクロ』というテプラが貼ってあった」という、いまひとつ決め手に欠ける理由である。
さらにここで紹介している三種のフジノンの名とスペックを見ていただきたい。
FUJINAR-M f/4.5 5cm
FUJINAR-M f/3.5 3cm
FUJINON-M f/2.8 2cm
短い焦点距離に比較的明るいF値。
これは拡大接写専用のレンズの特徴だ。
マウントはCマウントのネジピッチ違い。ピッチが細かく、通常のCマウントアダプタで使うと最後までネジ混むことができない。また、前後ともこの変形Cマウントのネジが切られていて、リバースで使うことが前提とされている様子もマクロレンズらしい。
絞りはなく固定絞り。フジのこの手の固定絞りレンズでは、F値を暗くしているものがわりと多く見られるのだけれども、これは可能な限り明るくしようとしているふしがある。
どんな環境下で、どんな被写体を相手にしていたのかは一切不明だが、かなりの高倍率を想定して作られていたに違いない。2cmのレンズになるとFマウントにCマウントアダプタをつけてレンズをマウントしただけでも、ワーキングティスタンスは6~7mmと狭い。しかしイメージサークルはフルサイズカバーしている。ただし、周辺はかなり荒れる。
D610/FUJINON-M 1:2.8 f=2cm↓
D610/FUJINON-M 1:2.8 f=2cm(リバース)↓
ピントは中央左のつぼみの中にある、隠し文字に合わせた。リバースのほうがわずかに白収差は少なくシャープだ。ベローズは用いず、本体にアダプタで直付け。
これを通常撮影に使うのはちょっと勇気が必要だ。
けれどもフジノンMにはあやしい魅力がある。
こうなってくるともう実用品、というより骨董品。レンズじたいのアンティークさを楽しむ心が必要だ。
最近ではこんなフジノンでも高値で奪い合いになることが多く、昔集めたものをちまちま紹介して、いたずらに相場を上げるのが楽しみといういやなマニアになってしまったのもいとおかし。
[↑何度でもいうよ! 実用で古いフジノン使うなら古いニッコールにしておきなさい!!
もしくは最新のフジノン!!!]
FUJIFILM レンズ付フイルム フジカラー 写ルンです 1600 Hi-Speed (高感度・高速シャッター) 39枚撮り LF 1600HS-N FL 39SH 1
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