マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

RMSマウントのZUIKO MACRO

OM-SYSTEM ZUIKO MACRO (RMS MOUNT 20/3.5 & 38/3.5)

その昔オリンパスは「宇宙からバクテリアまで」というキャッチフレーズで、OMマウントという一眼レフシステムを築いた。始めは「Mマウント」という名前だったのだけれども、ライカネジマウントがMマウントと呼ばれていたため、カタログなどを出したあとに物言いがあり、「OM」という名になったという話だ。

それはともかく「宇宙からバクテリアまで」というフレーズは伊達ではなく、国産超接写システムについては同じく顕微鏡を扱うニコンと双璧を成していた。

マクロ者であればおなじみ「RMSマウント」は有限系顕微鏡対物レンズのマウントで、王立顕微鏡学会の頭文字である「Royal Microscopy Society」が名前の由来。イギリス発祥でマウント口径20.32mm、ネジピッチ0.706mmというインチ単位のマウントを持っている。工業製品の祖は英国にあるのだなと忍ばせられる。

撮影用のレンズとして国産ではニコンキヤノンオリンパスミノルタトプコンRMSマクロレンズを出していた。通常、顕微鏡対物レンズには絞りがなかったため、撮影にはこうした絞り付きのマクロレンズが重宝されたのだろう。

とくにオリンパスのマクロはニコンマクロニッコールと違い、一般でも広く使われていたのか中古の玉数が多い。RMSレンズとして最後までカタログに残っていたのも、おそらくオリンパス。とはいえ2000年あたりにはキヤノンがMP-E65mm F2.8マクロフォトという1~5倍対応のマクロ専用変倍レンズを。ミノルタがAFもできる1~3倍のマクロ専用レンズを出していた。その時点でオートフォーカスが不自由だったOMマウントは時代に乗り切れていない感じを出していた。

高倍率マクロ撮影にAFが必要かとうのはともかく、マクロ撮影システムの一部は顕微鏡部門とかち合っていたニコンと比較しても、OMシステムのマクロは華やかなものであることは現在の目から見ても明らか。

マクロ専用レンズだけでもRMSが二本(20/3.5 38/3.5)。OMマウントのもので二本(20/2 38/2.8)。ベローズ併用だが無限遠も撮影できるOMマクロが二本(80/4 135/4.5)。さらに一般撮影できるヘリコイドを持ったマクロレンズが三本(50/2 50/3.5 90/2)。9本ものマクロレンズが選べた時代だった。

わたしはそのうちのRMSの二本しか使っていないけれども、高倍率マクロ沼に浸かりはじめのころからお世話になったレンズ。この二本があればたいていの高倍率撮影はこなしていた。絞りすぎると解像力が急激に失われる。ベローズを伸ばしすぎるとやはり解像力が落ちるといった弱点はあるものの、とても使いやすい。

 この写真を撮ったもがもう8年前だということに静かなショックを受けたけれど、これが20/3.5の作例。

 

オススメは38/3.5。20mmはよほどの高倍率でないと使い所がないけれど、38mmは鉱物を撮るにはじつに適当な焦点距離。よく使っていた。

 常用レンズとしてはマクロニッコールトミノンたちに座を奪われがちだけれども、レンズそのものの性能よりも撮影環境のほうが結果に差が出る。高倍率マクロレンズとベローズを扱うのであれば、ズイコーマクロはオススメできる。

他のレンズたちを越える美点として、絞り形が美しいことを強くアピールしておきたい。とても扱いやすく解像力抜群のマクロニッコールだけれども、絞りの形があまりよくない。19/35/65mmのマクロニッコールは絞りがカクカク。12cmに至っては手裏剣のような形。キヤノンマクロフォト20/35は直線的な絞りで35mmが星型。

だが、OMのRMS二種のマクロは絞りの形がじつにいい。完全ではないがきれいな円形絞りなのだ。下の写真はふたつともf/5.6に絞ったところ。この穏やかな絞り具合ときたら…

OM-SYSTEM ZUIKO MACRO (RMS MOUNT 20/3.5 & 38/3.5)

当時のマクロ撮影はボケの形を気にしなかったのか、アウトフォーカスのボケの形がよくないものがとても多い。絞りのきれいさでRMSのズイコーマクロは一番といっていい。RMSマクロレンズで絞りの形にこだわる諸兄。ボケの美しさで勝負したい姉貴たちに伝わってほしい。この思い。

余談ではあるけれど、試作レンズというものがこの世界には存在する。ズイコーマクロもRMSに関しては二本だけといったけれども、24mm f/4.5といったレンズもあるらしい。もしかしたらRMSではなくCマウントかも。いずれにせよプロトタイプについてはいずれ他のマニアが言及してくれるのではないかと思っている。いいナ~

 

==2021年1月21日追記==

RMSが有限系顕微鏡対物レンズマウントという表記をしていましたが、無限系も存在する。そしてオリンパスでは現行でもRMSの対物レンズが生きていると教えていただきました。

そういえば無限補正のオリンパス対物レンズがあったと思い出し、RMSマクロニッコールと比較の写真も出してみました。

OLYMPUS MSPlan2.5 0.07 ∞/- f=180 & Macro NIKKOR 35mm

こちらは「OLYMPUS MSPlan 2.5 0.07 ∞/- f=180」。RMSスレッドを持つ無限補正対物レンズです。

対物レンズについてはまだまだ勉強が足りていないので、間違っているところがあればご教示いただければ嬉しいです。

 

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[OMマウントのズイコーはアダプタ変換が面倒なので手を出してないんです…]