マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

ニコンミュージアム企画展『幻の試作レンズたち ―ミラーレス Z 7がとらえた魅惑の描写』に行ってきた

ニコンミュージアムはわたしみたいなマイノリティの心に刺さる企画をやってくれる。しかも入場無料のミュージアム。本当にいいんですか!? と思いながら毎回足を運んでる。

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「Nikkor-S Aute 105mm f/2.8」

『ニッコール千夜一夜物語 第五十一話』に出てきたソフトフォーカスニッコール105mm f/2.8だ!! これは社内に一本だけ現存していて、もしかしたらこれしか残っていないかもしれない。ということでしたが、2018年の夏頃。オークションサイトで一瞬だけ現れ、すぐに消えていったソフトフォーカスニッコールが確認されています。

今回の試作ニッコールのいくつかは、実際にプロがニコンZ7に装着して撮影した作例があるというのも見どころ。写真は撮影禁止なので、ぜひ肉眼で確かめてほしい。どれも本当にこれが試作レンズなの!? という、ハイクォリティな写りです。

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「Ai Nikkor 28mm f/1.4S」

28mmでf/1.4の明るさを持つFマウントニッコールはAi AF Nikkor 28mm F1.4Dが初。その発売が1994年なので、公式発売の10年以上前にすでにこのレンズが出来上がっていた。というのがまず驚き。

どうして世に出なかったかというと、「性能は28mm f/2のレンズと同程度。そして近距離性能がよくない」と、当時の品質部門からのストップがかかったとのこと。

発売すれば売れたであろうけれど、今も昔もニコンの品質検査はとても厳しいものなのだということを伝えてくれている。なお、このレンズで撮影された大伸ばしの写真も見たが、何がいけないのか素人目にはまったくわからなかった。

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「GN-NIKKOR Auto 35mm f/2」

一般発売されたGN(ガイドナンバー)ニッコールの45mm f/2.8のご先祖様。フラッシュがTTLで制御できるようになってこうしたフラッシュとレンズを同調させるシステムは廃れてしまいましたね。そんなGNニッコールに仲間がいたとは驚きの一本。

実はオークションサイトで一瞬だけ「Flash-NIKKOR 35mm f/2」というのが観測されたことがあります。今思えばあれは、このGNニッコールの原点だったのでしょう。

なお、今のニコンでは本体内蔵の発光機構を「フラッシュ」と呼び、外付けのものを「スピードライト」と呼称しているようです。「ストロボ」という愛嬌のある呼び方は、最近聞かなくなりましたね。

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「NIKKOR 58mm f/1.2」

ノクトニッコールのプロトタイプ!! ノクトが1977年発売なので、試作完成から遅くとも三年で発売といことなのか。この段階ではまだ「Noct」の文字が入っていないということは、ここの試作のあとに名前がつけられたのだろうか。

ニッコールでも「Noct」や先述の「GN」。そして「Micro」「Fisheye」「DC」「AM」といったネームドニッコールは特別なものに感じる。実際にネームドニッコールはほぼ例外なく特別な用途のために作られたレンズである。

しかしこの「Noct」というのは単純に明るい。といってもf/1.4のレンズからほんのわずかだけ明るくなっただけ。ノクトの本領はコマ収差の少なさがあるが、いってみれば機能ではなく描写の違いにつけられた特別な一本といっていい。

すでにZマウントで「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」が発表されている。まさかノクトが復活とは思わなかったが、新しいノクトが生まれることによってこのレンズも晴れておじいちゃん。孫の活躍が楽しみなことだろう。

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「Ai OP Fisheye-NIKKOR 10mm f/2.8」

OP! OPフィッシュアイニッコールのf/2.8バージョンだ!! 

「OP」とは「正射影方式」の英語である「Orthogonal projection」の略で、通常の魚眼とはちょっと違うんですよ!!

細かいことはわからないし、実際に使ったこともないので適当な自分の解釈ですと「通常の魚眼レンズよりも曲率高い写真が撮れるけど、そこから厳密なものの大きさを読み取れて、なおかつ中心から周辺まで輝度差がなく、学術用途に使われたレンズ」という具合。

わたしのようないいかげんなマニアは「スゲー! OPだ!! しかもスゲー明るい!!!」と騒ぐんです!!!!

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「Micro-NIKKOR Auto 55mm f/4」

なにこのマイクロニッコール。知らなかった… 開放F値が4で謎のギミック付き。

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

中間リングを付けると露出倍数がかかってf/4ではなくf/5.6からになるんですね。ンン~ これをニコンFと合わせてガチャガチャしたら楽しいだろうな~

 

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

ここも特殊ニッコールがズラリ。その中でもわたしが目を釘付けにするのは…

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「Macro-Nikkor 65mm f/5.6」

ああ~ッ!! マクロニッコール! しかも65mmでレッドラインは初めて見た! こないだの試作展でも見なかったやつだ。どこに隠れてたのよモォ~

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

さらにベローズニッコールのご先祖様も。Fマウントが前後についてる異形ニッコール。ぜひこの仕様で出していただきたかった!

 

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

「万能投影機 6C型」

おさわりOKでド迫力の微動ステージをクリクリ回すことができた感激。じつはステージ奥の方に鉱物標本もあり俺得。けれど鉱物は硬貨より立体的なのでピント面が少ない。ライブで見ないと微妙だったので、写真的には「映え」を狙って一円玉にしたのは抜群に秘密。

Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』

 

その他盛りだくさんなんですが、マクロ偏重のわたしが調子に乗ると変なことを口走りそうなので、ぜひ拙『Flickr』のアルバムを御覧ください。

ISO高めなうえ、オートで撮ったためホワイトバランスぐちゃぐちゃになってしまいましたが、様子が伝われば幸いです。

【2018-12 Nikon Museum Special Exhibition 『Prototypr Lenses』】

なにより実際に足を運んで実物を見るのが一番楽しいです。お近くの方はぜひぜひ足を運ばれるべきです。この『幻の試作レンズたち ―ミラーレス Z 7がとらえた魅惑の描写』は特別展なので、2018年の12月27日(木)までやっているのでまだ間に合います!! でも日祝が定休日なのでそこはご注意を…

 

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ニッコール千夜一夜物語―レンズ設計者の哲学と美学 (クラシックカメラ選書)

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