マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

高倍率マクロ専用レンズ『Macro-NIKKOR』たち

 わたしが下記のブログを書いたのも五年前。このときは赤いラインの12cmと黄色いラインの65mmのマクロニッコールしか手元にはなく。

しかしというかやはりというか、この道を歩いていると集まってくるもので。感動の対面は2018年でありましたが、一度くらいは集合写真を撮っておくべきだろうと思い立っちました。
ごくナチュラルに集合写真といっているけれど、揃いのレンズが集まったから写真を撮ろう。というのはマニアにとっては当然のこと。今わたしはインフル疑惑の熱を出して仕事を休んでいるのですが、別に熱に浮かされているわけではなく。

Macro-NIKKOR Family

…なんて幸せそうな家族の肖像だ。端々に苦労を忍ばせる使い込み具合が見受けられるも、わたしが撮る趣味の撮影に意気軒昂。時代はアナログフィルムからデジタル素子に変わったというのに、このレンズは何も変わらない。高画素センサーが発達した今こそがこのレンズの真価を発揮できるといったら失礼か。なにしろマクロニッコールのイメージサークルは35mmフルフレーム(24×36mm)を越え、4x5(100×125mm)をカバーする。まだまだこのレンズの真価は発揮できていないという。

マクロニッコールの特徴は高解像力に加えてイメージサークルの広さ。さらに小さくて堅牢で取り回しがよく、逆光耐性もかなり備えている。赤いラインの12cmから白いラインの19mmまでを揃えれば、0.3倍から40倍までのマクロ撮影に対応できる。これは35mmフルフレーム基準で、撮影架台『マルチフォト』を使った場合です。大判では使用したことがないのが口惜しい。

通常、この手のマクロレンズの場合はベローズを伸ばさず、できるだけ控えめにする必要があります。ベローズを伸ばせば伸ばすほどレンズにとって負担となり、解像力が失われる。だがこのレンズに限っていえば、むしろ蛇腹を伸ばして使いたい。

というのもマクロニッコールは『マルチフォト』のために作られた四組の宝石。マルチフォトの35mmフルフレーム用の標準蛇腹は最短40mm、最長で300mmも伸びる。ロングベローズであれば60mmから600mmだ。この蛇腹の伸び縮みを考慮して、基準が設計されています。

ニコンの最も新しいベローズである『PB-6』の蛇腹は最短で48mm、最長208mm。エクステンションベローズ『PB-6E』を装着したとしても長さは83mm~438mmだ。民生用ベローズであれば、どんどん蛇腹を伸ばして使ってもらいたい。他のマクロ専用レンズたちがベローズ延長に従いみるみる解像力を失う中、マクロニッコールだけはその切れ味を失わない。これがマクロニッコールの真の強み、といっても過言ではありません。

さらにいうならば、厳密に決められているはずの撮影倍率を多少外してもほとんど影響がない。このゆとりあるクリアランスも実用する上では強みだ。以下、マクロニッコールの推奨倍率とマウントを記載しておきます。


(赤線) Macro-NIKKOR 12cm f/6.3
[推奨倍率] 0.3~4倍 M39ライカスクリューマウント

(黄線) Macro-NIKKOR 65mm f/4.5
[推奨倍率] 3.5~10倍 M39ライカスクリューマウント

(青線) Macro NIKKOR 35mm f/4.5
[推奨倍率] 8~20倍 RMS対物レンズネジマウント 

(白線) Macro NIKKOR 19mm f/2.8
[推奨倍率] 15~40倍 RMS対物レンズネジマウント


また、マクロニッコールがどうして「マイクロ」ではないのか? 逆になぜニコンのマクロレンズが「マイクロ」というのか? ここらへんについては、ぜひ『ニッコール千夜一夜物語』を読んでいただきたい。わたしは100回は読み返しました。

それによればマクロニッコールは産業用、工業用ニッコール『Printing-NIKKOR』として。写真用では大判レンズ『NIKKOR-AM』としてそれぞれ進化していったとのこと。わたしもこのふたつはいずれもマクロレンズとして、絶賛しているレンズです。

ふたつともこのブログで紹介したいのですが「いずれにしても、高解像で光学系としては究極の姿」ということは先に断じておきます。

ニッコールAMシリーズについては命名方法がやや特殊ではありますが、「AM」が「アポマクロ」の略称であることが知られています。120mmと210mmのいずれもf/5.6のレンズがあり、とくに120mmはマクロニッコール12cmを思わせる描写です。

等倍付近に特化して、無限遠の描写を捨てた姿は清々しく。マクロニッコールの集合写真には載せませんでしたが、ここにお写真だけでも載せておこうと思います。

NIKKOR-AM*ED 120mm f5.6s

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[↑マクロニッコールの弱点は絞りが通常のF値と違ってただの数字が振られているところ]