トプコン。というともはやカメラレンズのイメージは薄いだろうけれど、かつては「陸のトーコー(トプコン)、海のニッコー(ニコン)」と呼ばれた光学機器の名門。カメラ部門は昭和に取り残されてしまったが、今でもトプコンといえば産業用の光学機器メーカーとして令和もなお健在だ。
画像のレンズはトプコンのベストセラー万能工具顕微鏡『TUMシリーズ』に搭載された対物レンズで、Φ39mm/ネジピッチ1mmのネジマウントを持つ。
あいにくわたしが所持しているのは5倍、10倍、20倍の三本。小耳にはさんだところによると「トプコンのTUMシリーズには x3があるらしい…」というので探し出して四兄弟で紹介しよう。と思っていたが、あいにくこの手のレンズはわたしのような一市民がピンポイントで探せるようなものではない。数十kgはあろうかという測定機に付属していることが多く、価格も工場が買うようなガチのお値段。しかもx3という低倍率は特殊用途のオプション装備だと思っている。わたしの産廃マクロレンズ力による引き寄せに期待して発表とする。
はじめにお断り、というか弱音を吐かせてもらうと、ここのところはすっかり撮影も手を抜きがちなのでレンズの写真も背景の整理など雑なもので。レンズの鏡筒に映り込む謎のグリーンは部屋着のTシャツが写り込んでいるという有り様。しかも一年ほど前からAdobe Photoshopのフォトグラファープランの値上げにカッとなって解約してしまい、レタッチすらしない状況。
予防線を張ったところでこちらがx5の作成。
Chrysoberyl / 金緑石
Lac Alaotre Antananarivo Prov MADAGASCAR
FoV=14mm
D850 / Bellows / TOPCON 万能工具顕微鏡
TUMシリーズ対物レンズ x5
『Zerene Stacker』は心有るメーカーが作っているのでソフトは買い切りでアップデートも無料の手厚さ。おかげで深度合成はなんとかできる。上のクリソベリルは21枚を積んだ。はしはしに合成時のカスが出ているが目をつぶってほしい。あるいは拡大して見て笑ってくれ。ハハハ。
と、5倍で2倍程度の被写体を撮ったわりにはかなりいい。アウトフォーカスに軸上色収差らしき紫が見えることもあるが、おおむね良好。これで絞りがついていれば感激のスペックなのだけれども、撮影を意図しないレンズにそれは酷か。
マウントもM39の1mmピッチなので、通常のL39マウントアダプタにちょっとだけハマるので、そこを黒のマスキングテープで落ちないよう保険をかけて撮影。困ったときは粘着テープに頼るのが現場の技というもの。よい子はきちんと嵌合するマウントアダプターを使ってね。
なお、1966年に『万能工具顕微鏡TUM-200』が発売して、そこから昭和を駆け抜けトプコン製測定顕微鏡は2010年9月末日に販売終了。保守サービスは2019年3月末日に終了。昭和に生まれ、平成の末までがんばった。50年以上も第一線で向こうを張ったこの対物レンズの本領を、わたしはまだ引き出せてはいない。
レンズとしても今までとはまるで違う環境に戸惑うばかりだろうから、あんがいいいコンビが組めるのではないかと思う。3倍がわが家にたどり着いたら賑やかになるぞ。






