マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

ユタ州からお越しのビクスビ石

Bixbyite

Thomas Range Utah America
FoV=25mm
D850/bellows/Ernst Leitz Wetzler Summar f=8cm

 

アメリカ合衆国ユタ州のトーマス山脈からお越しのビクスビ石さん。この黒さときたら!

この立方体具合はパイライトとよく似ていて金属光沢があるところもそっくりだけれど、色がぜんぜん違う。化学組成式を調べてみると (Mn,Fe)2O3。マンガンと鉄でできていた。強い光に透かせば赤く見えたりするかと強力なLEDにかざしたりもしたが、わたしの目を灼くばかりで透過せず。わたしが見た黒い石の中でもトップクラスの黒だった。

トーマス山脈というのはどこかで聞いたことがあるぞと調べていくと、トパーズの名産地なのだという。この山脈にはその名もずばり『トパーズ山/Topaz Mountain』という地名がある。しかし著名なトパーズに比べてビクスビ石はマイナーで、映える結晶の産地もトーマス山脈くらいしかないようだ。日本でも長崎県西彼杵郡などで取れることもあるらしいが、見たことがない。

Bixbyite

うっすら残るベージュ色でカサカサの母岩跡。四角くきれいにえぐれた様子もパイライトっぽい。しかしこの黒さがじつにいい。撮影に使う黒背景が負けるくらいの濃ゆさ。バイヤーが丹精込めて支柱(たぶん爪楊枝)を黒塗りをして、接着してくれた職人技にも注目しておきたい。

光のあたり方によってはグロースラインも見えてくる黒一色といってもしっかり表情がある。角も欠けたのかと思いきやよくよく観察すると、そういう面であったりする。なかなかどうしてマクロ映えする標本だ。サイズ感も好み。

これ、思い切ってローズカットにしたら面白いのでは。硬度は6~7。イケる。誰かカットしてはくれまいか――など標本派に狙撃されかねないことを考えながらの観察は楽しい。

一般的に不透明な石に対してファセットを切るのは無意味とされるが、どんな石でもひとまずカットしてあると収集癖が刺激されるんだ。なにとぞご理解の程よろしくお願いいたします。

Bixbyite

 

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[ビスクビ石。と間違った覚え方をしていた時期があったのは抜群に秘密]