マクロレンズ大好きなわたしがFマウントで一本を選ぶのであれば、このマイクロニッコールAF-S60/2.8G。一口にFマウントといっても非Ai、Ai、Sタイプ、Dタイプ、Gタイプ、Eタイプ。AF駆動方式にもいろいろあるけれど、そこらをひとまず置いておこう。
このレンズはまことにいいもので、寄ってマクロを撮ればシャッキリポンとしたヌケよくすみずみまで高解像力。離れて撮れば周辺減光がいい味の、立体感ある描写。猫を撮ればハイパー美しい猫写と万能。強いて、強いて一本ということであればこの60mmマクロを置いて他はない(当社比)。
ここらは以前にもブログにレビューしたのでぜひご精査いただければ。
この最新レンズとオールドレンズのいいところを併せ持ったマクロレンズが終売を迎え、残るは店頭在庫と中古品しかない。というのはとても悲しい。Zマウントでは現在60mmのマクロは失われ、50mmと105mmのラインナップが発売されている。名前も「micro」ではなく「MC」と省略されてしまった。次の60mmマクロの発売まで、この銘玉のことを語り継がねばならない。
中距離に見られるこの周辺減光… 裏腹に高解像の開放描写はまさに猫写。とても猫的。神秘なる陰りで被写体を彩り本質を見誤らない。そんなレンズだ。
Z5にFTZアダプタをつけての撮影。超音波モーターによるAFはスルスルと動き、ククク…と薄笑いのような音を立ててピントが微調整される。昔はもっと静かだった気がするが、10年もわが手元でクリーンナップで戦い続けた一本だ。多少忍び笑いが漏れるのもむべなるかな。
猫様の至高に極まったバランス感覚はこの細いフェンスの上も座布団に変わる。そこを武家の淑女のように膝行して近づき、お写真をいただく。単焦点は被写体に近づくテクニックも重要。寄れるところまで寄るが、離れられてしまうまでは近づいてはならない。距離感がだいじ。
撮影の至極を教えてくれたのはマクロレンズであり単焦点であるこの一本。何でもできるが苦労を要する標準マクロ。ニコンではマイクロと呼び習わすが、とくに厳密さが求められない限り、わたしは等倍やハーフマクロを撮れるレンズのことをマクロとひとくくりにする。
なので最後にこういわせてもらおう。
「マイクロニッコールはいいぞ」
※今回の写真はすべて絞り開放でお送りしております
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[↑描写という言葉の由来は「猫の写り」がいいことからきているかも]