去る12月二週。台湾旅行に行ってきたのだけれども「台北には土日祝のみ開催の半常設ミネラルショーがあるよ」という情報を小耳に挟んだので、予定をやりくりして突撃してきた。
折しも日本では「東京ミネラルショー」が池袋で開催していた。こんな日に台湾のミネショに行くだなんてなにかニッチでいいぞ。
駅でいうと地下鉄板南線『忠孝新生』駅と『忠孝復興』駅。そして地下鉄信義線『大安森林公園』駅と『大安』駅。どこからも歩いて10分1kmくらい歩いたところにある。どの駅からでも均等に離れているのでアクセスのよい駅でいいが、こだわりがなければ『大安森林公園』駅がおすすめ。ここは台北でもっとも美しいといわれる駅だからだ。
この玉市は高架道路の下にあり、この道路ができる以前からの市場で道路を占有して、高架下が駐車場になってからも続いたといういかにもな成り立ちを持つ。平日は駐車場で、土日祝のみ約800店舗がひしめく台湾最大の玉市(ミネラルショー)だという。こんなものが毎週末開催とはうらやましい。しかも入場無料だ。
なお反対側の高架下には「花市」がある。こちらは園芸関係だ。時間の都合でここは回れなかった。
日本のミネラルショーと大きく違うところは出品物。「玉市」というだけあって「玉」ばかりだ。これだけの玉。ギョクを見たのは初めてで圧倒された。また、通路にイスを出してゆっくり対面商談をするなどたいへんおおらかだ。
そしてとにかく長い。全長1kmある。この間の浅草石フリマ3フロアをタテにつなげたくらい長い。わたしはおおよそ二時間をかけてすべてのブースを二周したが、こいつは手強い。しかもパンフなどないので、どこにどんなブースがあるかは歩いてみないとわからない。旅行疲れの足が悲鳴を上げたが、それに気がついたのは帰るときだった。とにかく楽しい。
とはいうものの品物の九割は素材や置物や細工物。うっすらルースが分布しており、鉱物標本に至っては1%あるかないか。ルースは捨て目で安くいいものを見つけるのが難しい。一度エメラルドばりの翡翠カボションの小さいのがあったので値段を尋ねてみたら「25000台湾ドル」。現在の円レートだと11万5000円程度。菩薩のような顔でしばらくルーペで眺め回し「謝謝」とにっこり笑ってブースを立ち去るしかできない。この玉市では値段がほぼついていないので聞いて回る必要がある。時間的にゆっくり見て回れない旅行者にはなかなか厳しい。
しかしわたしは事前に1ブースのみ確実に鉱物標本があることを知っていたのでこちらに突撃。
たどたどしい英語だけれども石好きならば単語でなんとかなる。ミネラルショーでは当たり前のことだ。ここでわたしはふたつほど石を購った。
店主ともコミュニケーションを取れてたいへん嬉しかった。言葉ではなく石好きの魂でのみ伝わることがあるのだ。
店主「スッ(スマホで池袋ショーの看板を見せてくる)」
わたし「イケブクロ!! トーキョーミネラルショー!!! トゥディ!!! ワーオ!!!!」
こんな具合だが情熱は伝わるのだ。たぶん。
翡翠にはA貨、B貨、C貨というランク付けがあり、それぞれ加工の度合いを表している。A貨は無加工、B貨は漂白やポリマー加工がされている。C貨はB貨からさらに着色がされている玉となる。下記の看板には「品質をたばかって売ったら処する」という旨のことが書かれている。たぶん。
会場のあちこちにこんな無料の給水所がある。というか台湾の施設にはこの手の無料給水所が多くて助かる。
この日の台北は12月だというのに29℃の異常気象で、このアメ横のガード下みたいなところではさぞ蒸し風呂であろうと覚悟していた。しかし意外なことにエアコンが効いていてとても快適だった。さすが南国の台湾。異常気象だが、この年代物の扇風機が動くまでもなく、暑さ対策はしっかりとしていた。
友達と合流して台湾の食を堪能し、宿に戻って謎のフルーツと豆乳でまったり。標本は梱包を解くのが怖いので日本に戻るまで手を付けなかった。つぎの台湾旅行のときも玉市を歩きたい。一日いてもきっと足りないくらい楽しめる自信がある。
みんなも台湾に来たら玉市に遊びに来るといいよ。眺めているだけでも圧巻なのできっと楽しいから。
[台湾の楽しみがまた増えてしまった~]