マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

わが愛する産業用マクロレンズ、FUJINON-M

わたしが産業用マクロレンズ。という癖の強い沼に落ちてから十余年。

一次資料が豊富でその歴史背景までが明らかにされてきた産業用ニッコールという太陽のような存在の中、産業用フジノンはまったく一次資料のない中で日陰のコレクションを求められてきた。

残念ながら今でも状況は変わっていない。それどころかこの変な沼の存在が明らかになり、謎レンズの争奪戦が激化するに従い庶民のおこずかいで細々の収集にも滞りが出てきた。これだけインターネットが身近になり、世界の情報に手元からアクセスできるご時世だというのにいまだ産業用フジノンの知見についてはお寒い限り。

一次資料がない中、不確定な情報ばかりであるけれど、現在わたしが匿っているFUJINON-Mについてだけでも、インターネットの海に画像と所感だけでも流しておこうと思う。また手元に入ったら随時情報は更新していくとして。

FUJINON-M Family

上段 5.6cm
中段(左から) 25mm 38mm 50mm 63mm 63mm 77mm
下段(左から) 6.3cm 2cm 3cm 5cm

フジノンMリスト

Cマウント(25.4mm=1インチ)のマウントを持つが
ネジピッチが狭く、Cマウントの途中までしか嵌合しない
25mmx0.5mmのネジマウント
また、前後ともに同一のネジマウントを持つ
固定絞り

FUJINON-M 1:2.8 f=2cm
FUJINAR-M 1:3.5 f=3cm
FUJINAR-M 1:4.5 f=5cm

外径36mmスリーブとM39ネジマウントを持つ
フロントスレッドはなし
固定絞り

(25mmのみスリーブのみ)
FUJINON-M 25mm
FUJINON-M 1:5.4 f=38mm
FUJINON-M 1:7 f=50mm
FUJINON-M 1:6.3 f=63mm


前後外径46mmのスリーブマウント
固定絞り
FUJINON-M 1:5.6 f=63mm
FUJINON-M 1:8 f=77mm

M39ネジマウント
f/3.5~16までの可変絞り
FUJINON-M 1:3.5 f=6.3cm


M87mmマジマウント
フロントスレッドあり
固定絞り
FUJINON-M 1:7.3 f=5.6cm

 

このうちいくつかはすでに拙ブログにて言及しているのでフジノンの魅力にやられた方(いるのか)はぜひ。

 

補足推論として、「FUJINON(FUJINAER)-M」の「M」は「マイクロ」のMと思われる。巨大な5.6cm/7.3に純正フロントキャップに「FUJINON MICRO」とロゴ刻印があること。
また25mm/38mm/50mmには「FUJINON-M」とロゴの入った純正ケースが確認できた。当時の使用者によって「マイクロ」と打刻されたテプラの添付があり、状況的にフジノンMが「マイクロ」とされていたことを考えて物語っている
↓純正のプラスチックスクリューケース

FUJINON-M

なお、「25mm フジノンM」のレンズ鏡筒には銘板がなく、状況的にフジノンだと仮定している。もともと銘板が存在しないのか、使用者が何かの理由で銘板を欠いたのかは不明。25mmのみスリーブマウントで、ネジスレッドがないことも奇妙な点だ。


リストはマウントの違いから5つに分類している。


用途についてはマイクロフィルム用。ミニラボ機用などの引き伸ばし拡大用途が考えられる。

一部「FUJINAR」銘があるように「FUJINON」より古い時代の名称がついている。「FUJINAR」は1945~1953年ほどの間で使われていたブランドネームで、写場(写真館)用・引き伸ばし用・プロ用大判・一部カメラレンズで使われていた。(「Fujinar-E」は70年代始めくらいまで売られていた)

ただし「FUJINAR」銘は50年代から70年代にかけて「FUJINON」よりもひとつ劣る、といった扱いのブランドとなっていった。フジ公式の一次資料は極めて少ないが、1953年からの沿革に「FUJINON SUPER MICRO F1.5/13mm」の記述が見られる。またゼロックス用「FUJINON XEROX」やレントゲン用「FUJINON X-RAY」も「FUJINON」を名乗っている。つまりこの頃にはもう産業用レンズには「FUJINAR」が使われなくなったことを意味する。

このことから「FUJINAR-M」は1945~1953年の品物だと推察できる。おそらくは同時代に販売されていた引き伸ばしレンズ「FUJINAR-E」や大判レンズ「FUJINAR」と同じように、一部で販売されていたのだろう。もしかすると「FUJINAR-M」はフジにおける最古の特殊産業用レンズなのかもしれない。

 

フジノンMは手に入れたマニアも持て余して、死蔵していることが考える。
わたしがこれまでネットの情報やオークションで目にしてきたフジノンMには以下のようなものがあるが、それ以後ほとんど目にせず、情報も更新されていないからだ。

1:2.8/2.5cm(固定絞り)
1:5/35mm(固定絞り)
1:5.4/38mm(固定絞り)
1:7/50mm(固定絞り)
1:5.6/63mm(固定絞り)
1:3.5/6.5cm(固定絞り)
1:6.3/85mm(固定絞り)

わたしのようにいつかフジノンMの情報が充実したら公開しよう。と思っているのかもしれない。しかしフジは産業用レンズの情報公開にしぶい。もしかすると情報は失われているのかもしれない。

だからわたしも忸怩たる思い出、現在わかっている情報を公開することにした。

そして公開するたびにネットオークションの相場が上がるのだ。知っている。自分で自分の首を絞めるのはわかっている。けど、このかわいいレンズたちのことを黙っていられなかったのだ。

これからも地味にフジノンMを集めていくが、オークションでかち合ったときには手心お願いたします。わたしは数千円くらいしか入札しませんので…

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

[フジが公式情報を出してくれればいいんですよ!!]