マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

人喰谷のムーンストーン

Moon stone

D850/bellows/MINOLTA C.E.LENS 80mm f/5.6
FoV=70mm
富山県南砺市人喰谷

 

石の世界にも「ジャケ買い」的なものがあって、珍しい産地だったり名前の響きが美しかったりするとひとまず手を出してしまうことがある。

写真のムーンストーンがまさにそれで、ピンクがかった軽石みたいな石の中に斑晶としてブルームーンストーン紛れ込んでいる。見てくれはともかく「人喰谷のムーンストーン」という言葉の妖しさがとにかくいい。

どこかのショーでカレーの人が「これ、これいいですよ。名前がとてもいいです。こういうの好きですよね?」と趣味を見透かして見つけ出してきてくれた石。自分ではなく誰かが好きそうな石を見つけて勧めてくる。こういうパターンはミネラルショーでとても多い。

いかにも「火山岩!!」というスカスカで軽い岩石中に、いろんな石が入っている。高温型水晶らしい多面体が多いが、まれに青く光る結晶がある。引き写真の画面中央右あたりに見える。これがブルームーンストーン。青い月長石。

人喰谷は険しく雪崩の多い峠道で、ここで雪崩に飲まれてしまうと春になっても死体が見つからない。ということから『人喰谷』と呼ばれたという。実のところ、そんな暗い過去とムーンストーンは意外にも関連性がない。

雪崩に飲み込まれた歩荷たちの無念がこの石に。という無責任な教訓秘話はすぐに思いつくが、そんなことはないのでご安心。肉眼ではたいして美しいものではないものの、ルーペひとつあれば宝の山が現れる。地味ながら観察しがいのあるこの標本は産地の記されたラベルとともに大事にしていきたい。あっ、寄って撮ったらブルーシラーが消えた。

Moon stone

D850/bellows/DiMAGE Scan Elite 5400
FoV=5mm

 

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[中秋のムーンストーン…必要ですよね]