マクロ☆スタイル

日常に高倍率マクロ撮影。鉱物標本写真/ルース。猫も撮ります。マクロレンズと産業用の変なレンズが多いです

『石好きによるルーペ紹介⑨『ZEISS WEST Germany Apl 10X』

loupe ZEISS WEST Germany Apl 10X

以前ツァイスの可変倍率ルーペを紹介してすぐ。

「おツァイスの10倍もイイっていうけどどうなんだろ~」

と思って中古品を手に入れていた。これがかなりよかったし、わりかしルーペのブログ記事の反響があったので紹介しておきたい。結論からいうと「さすがZEISS」。

まずロゴを見ていただきたいのですが「WEST Germany」。そう、今はなき西ドイツのツァイスです。ベルリンの壁崩壊後、ドイツ東西統一からすでに30年が経過している。もしかしたらこのルーペは30年以上前に作られたものではなかろうか。と、心はベルリンに飛んでいってしまう。

といっても統一後のドイツは大混乱だったし、東ツァイスイエナよりも西のツァイスのほうが経済状況がよく、ブランド力も高かったろうからしばらくは西独ロゴ入りのルーペが販売していたかもしれない。

loupe ZEISS WEST Germany Apl 10X

しかし経年具合とプラスチック外装のスレ凹み具合を見ると歴史を感じる。本当に30年以上前のものだったのかもしれない。あれこれ検索をかけてみると、この時期のツァイスルーペはさまざまな変遷を遂げていて、外装が黒一色だったりグレー一色だったり、ロゴの入れ方が違ったりと目まぐるしい。いつしか外装は濃いグレーのガワと白い鏡筒の組み合わせに落ち着いたようだ。これはさほど新しくもなく、ふたつくらい前の世代のものかもしれない。それでも十数年は余裕だろう。

カシメの部分に穴が開けられているのは先人の知恵。今のツァイスルーペは始めからネックストラップを通す用途で穴を開けられているが、ひと世代前のものはこうしてジョイント中心に自分で穴を開けて使い良いようにしていた。穴の周囲が熱で溶けたようになっている。このルーペを使っていた方はきっと千枚通しをライターで炙り、緊張しながら穴を広げていったのだろう。今も昔もツァイスの光学機器は値が張る。そこに不可逆の改造を施すには勇気がいる。

loupe ZEISS WEST Germany Apl 10X

その使い込まれ具合に反して摺動部のしっかりしたこと!! 新品の気密性そのままに「キキッ」という軽い抵抗を残して開閉できる。首から吊るしていて気がついたらレンズが繰り出されていたということはまずありえない。メンテフリーのプラスチックでこの精度を出せる技術はさすがツァイス…! と思わせられる。

恐る恐るニコンの宝飾用10倍ルーペと見比べてみる。いずれもノンコートでレンズ径は同じくらいのトリプレット。外装も樹脂だが見え方は極上の日本光学の高級ルーペだ。

見比べてもほぼ遜色がない。それどころかツァイスのほうがわずかに明るく見える。何度も何度も自分の腕の産毛や宝石ルース。タオル繊維の毛羽立ち、金属表面などを見比べたがツァイスの10倍のほうがわずかに。ごくわずかに視野が明るい。

しかしこれはツァイスのレンズホルダーが白いため、そう見えるということも加味されるのかもしれない。実際、ニコンで見たほうが色が深くコントラストがごくごくわずかに良い。これは両者甲乙つけがたい。いずれもわたしのルーペ棚に殿堂入りだ。

強いて用途を限定するのであればツァイスの10倍はフィールド用。ニコンの10倍はやはり宝飾用に用いるのが良かろうというところ。見え方耐久性、ハンドリングはほぼ互角。手に入りやすさでいえば圧倒的にニコン。とはいえこれは古いツァイスの10倍との比較だ。新品のツァイスD40(10倍)の見え方ではないことを最後に強調しておきたい。

ZEISS WEST Germany & Nikon loupe

【まとめ】
ZEISS WEST Germany Apl 10X

レンズ径=13mm(実測)
重量=10.9g(実測)
全長=38mm(繰り出し前/実測)
厚み=15.5mm(公式)
レンズ構成=トリプレット

・観察しやすさ=91点
・解像感=97点
・扱いやすさ=90点
・耐久性=95点
・コストパフォーマンス=89点
・総合点:92.4点

 

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