休みの朝。思いがけず早く目が覚めて天気予報をチェックして全国的に晴れだったらどうする? わたしはソロツーに出かけたくなる。なんでもいいから理由をつけて、一日中バイキュに乗って移動しまくりたい。俗にいう「距離ガバ」だ。
だからわたしは住み慣れたカツシカを飛び出し、詳しくもないサービスエリアでなんとなく美味しそげなものを朝食としていただき、富山県へと急いだ。
これは確か山梨県の「境川PA」で食べたナントカそば。フライドオニオンが入ったガッチリな味で朝から力が出た。
ちょっとした休憩をしながら『立山サンダーバード』に到着。
ここのおにぎりとサンドイッチのラインナップが頭が悪そうだったので、一度来てみたいと思っていた。わが距離ガバのモチベーションとなってくれた。
店内は撮影禁止なので買ったものを表のベンチでいただく。
イノシシ肉おにぎりはそぼろ状であまから。
チキンカレーおにぎりはフルーティーなスパイスの利いたタンドリーチキン風。
山賊焼きはサンドイッチは…何味だこれ。唐揚げを謎のすっぱいスパイスで味をつけたような。謎味。
外のベンチには『立山サンダーバード』を象徴するライチョウの彫刻がある。
となりの店舗では松茸を売っていた。試食をしたら買わなくてはいけない気がするので近寄らなかった。
『立山サンダーバード』。謎な魅力があるので話題になっている。わざわざ東京からこのためだけに来るのは距離ガバさんだが、近くに寄ったら思い出してほしい店だった。
ツーリング記念にバイクと記念撮影はお約束。
さあカツシカに帰るかと思ったらどころからか電車の音が。野っぱらにレールを認めたのでバイクを停めて近寄ってみる。立山サンダーバードの裏手にもレールがあり、富山地方鉄道立山線『横江駅』が最寄り駅なのだという。アクセスに公共交通機関の雄、電車があるだなんて思ってもいなかった(失礼)。
わたしは鉄分皆無な人間なのだけれども、WEBで時刻表を確認したら30分くらい待てばやってきそうだった。なので秋の訪れを感じるためにトンボを撮りながらまったりと電車を待つことにした。
ちなみにトンボにも詳しくないのでこれが何トンボかもわからない。
ふと遠くから「…カタタン。カタタン」という電車の走る音が。しかも徐々に近づいてくる。そして踏切が降りる音も近づいてくる。ああ、実際に電車を撮るぞと構えて野っぱらでぼんやりしていたが、こうして被写体の訪れが耳にも感じられるのはいいものだ。これが撮り鉄の魅力のひとつなのだろうか。
電車だ! 撮るぞ!! 撮ったぞ!!!
「宇奈月温泉100周年」のエンブレムをつけた電車であった。わたしには鉄写真のなんたるかはわからないのだが、待ち構えていると被写体がだいたい時間通りに現れるのが楽しい。
車掌さんもわたしを見て「オッ、撮り鉄じゃん」みたいに思ったのか笑顔だ。初心者です。ありがとうございます。去りゆく電車のおしり姿も撮っておこう。
さて帰るかと帰りのルートを調べると「糸魚川のひすい海岸…近いかも」と気づいて進路変更。半分以上の峠道でヒィヒィいいながらギリギリ太陽が残っている間に到着。
オッ。もうすぐ日も暮れるというのに。さらに波もけっこう厳しめの高さなのに二組のひすいハンターの姿を認める。わたしはそのハンターを写真ハントして帰路につく。初のひすい海岸でのビギナーズラックはまた日を改めてつかまつろうと思う。
糸魚川をあとにして一時間もしないうちにとっぷりと日が暮れる。そしてわたしは暗黒の峠道を駆ける。一言でいうと超怖い。ふたことでいうと超怖い。写真を撮ろうという気すらおきないくらい怖い。
安全第一で運転するのだが、暗さはまだなんとかなる。我慢ができないのは寒さだ。日が暮れて急速に気温が下がる。わたしは上が革ジャンに綿のロンT一枚のお気軽装備。これはやばいと思ったときにはガチガチ震えながらのライディングだ。ときおり山道に現れる気温計は8℃。走行風もあいまって寒すぎる。
白馬村を過ぎたあたりのファミリーマートで使い捨てカイロと肉まんを買わなかったら死んでいたかもしれない。グローブだけはたまたま昨日、新品の冬グローブが届いていたので九死に一生を得る。
命からがら高速道路までたどり着いて得た豚汁そばのうまいこと!!
終わってみれば本日の走行距離。818km。日帰りツーリングの走行距離としては過去最大かもしれない。楽しかった。寒かった。でも道が凍る前に距離ガバツーリングができてわたしは嬉しかったんだ。楽しかったんだ。心が漲るんだ。
このブログはただそれを伝えたかっただけなのだ。
[↑バイクだと一日に(往復で)3~400kmくらいがほどよい]